Time holicです。
これで終われるか?と思いながら『ホームマスターの光と影シリーズ』第3弾に取り掛かりましたが、そうは問屋が卸さなかったようです。
あまりにも原文が長すぎて、強制的に第4弾まで行くしかなくなりました。笑
冷静に読み返してみると、 別にそこまで面白くない 『一体これが何の役に立つのか』なんて考えになったりもしますが……ま、とりあえず、一応、手を、かけてしまったので、最後まで、やり切ります!
ということで『ホームマスターの光と影』シリーズ第3弾、アイドル事務所と芸能事務所からみたホームマスターの存在について。←長いので覚悟して読んでね!
日常と化したストーキング行為
今月会った所属事務所の関係者I氏は、ボーイズグループのマネージャーを担当している。
彼はホームマスターという存在に嫌気がさしているようだった。
ホームマスターもプライバシーを追ってくるサセンも、グループの国内スケジュールと海外スケジュールの全てについてくるとI氏は言う。
飛行機のビジネス席や海外経由地のビジネスラウンジ、到着したヨーロッパの小さな都市にも彼女たちがいたと。
一体どうやって便名まで把握するのか分かりません。
ヨーロッパまで行くにはすごく高いんですよ。
経由を入れて11時間も飛行して大変なのに、全部ついてくるんです。
多分、その子たちも航空会社の等級がゴールドかルビー、ダイヤモンドくらいあると思います。
彼女たちが高いビジネス席のチケットを買う理由は、ビジネスラウンジに一緒に入ることができるからだ。
アイドルはラウンジでも写真を撮られて安心して休むことができない。
そして、そのような極めて個人的な日常が盛り込まれた写真は、フォトブックの購買意欲を高めるために利用される。
ラウンジでメンバーが写真を撮って送ってくれたんですが、写真の隅にメンバーを見守るファンが一緒に写っています。
それくらい酷い。
内部で誰かがスケジュールを売っているんじゃないんですか?
どうしてそれを全部把握できるんですか?
不正アクセスが殺到して会社のスケジュールファイルが壊れます。
認証しないと見られないようにパスワードも全部変えて、メンバー本人と私しか知らないスケジュールのはずなのに、誰かが必ず撮影場所で待っていて…本当にゾッとします。
I氏は、所属事務所もその深刻さを知っていて、あり得ないくらいの情報が漏れていることに戸惑いを隠せないと言った。
一体ファンはその情報をどこから得ているのか、誰かが内部スケジュールを漏らしているのでしょうか?
最近は特に酷くて事務所内でも問題になりました。
大変なことになると分かってやっているんですよ。
ファンには何を言っても喜んでついて来るし、ついて行くための費用を稼ぐと言われたら…呆れて言葉も出ません。
I氏は、このようなサセンと変わらないホームマスターの行動が、結局は芸能人に被害を与えると訴えた。
飛行機では本当に恥ずかしい思いをすることが多いです。
ファンはビジネス席に座っているアイドルより先に降りて、出てくるメンバーの姿を撮りたいんです。
それで、乗務員に自分が先に降りたいと言って騒ぎます。
着陸直前に席を立ってバタバタするのは全員ホームマスターです。
その時に席を立つと危ないじゃないですか。
他の乗客は抗議しませんか?
空港で騒ぎになった時、年配の女性がメンバーの一人に『グループ名は?』と聞いたそうです。
メンバーは単純に嬉しくてグループ名を教えたんですが、その女性はこう言ったそうです。
『覚えておかないと。本当に恥ずかしい、国の恥だよ』と。
メンバーはその時、とても恥ずかしかったそうです。
世界的にK-POPが人気だから、アイドルの海外公演には国威宣揚 (国家の威光を示すこと) の効果もあるだろう。
しかし、その過程ではこのような事件が頻繁に発生する。
その度に起こる一般大衆の非難は、ファンよりも彼女たちの好きなアイドルグループに向かう。
メンバーも苦しんでいるのは同じだ。
だが、彼らはホームマスターの前で弱者にならざるを得ない。
プライバシーが盛り込まれた写真を握られているからでもあり、ホームマスターの数も、大きな事務所のアイドルとは違って片手で数えられる程度しかいないからだ。
ホームマスターの写真が一般のファンに与える影響が大きく、彼らも顔色を伺うしかない。
I氏もその点を言及した。
ホームマスターが離れるとファンダムが崩れるそうです。
アイドルが悪い時もそうですが、ホームマスター同士が喧嘩をして、騒ぎを起こしてSNSを閉めてしまう。
そんなことにもメンバーは敏感に反応します。
もう一つの弱点は、ホームマスターが写真を売って稼いだお金で買ってくれるプレゼントだ。
I氏は『正直、プレゼントを貰うことをものすごく喜ぶアイドルもいる』と話した。
高価なブランド品をプレゼントしてくれて自分の写真も綺麗に撮ってくれるから、SNSを閉めるのは困ると言うアイドルもいました。
だからVライブをして欲しいと言われたら全部やって、カメラを見て笑ってあげたりするんです。
会社ではそれを止めることはできません。
頭を抱えている事務所の妥協案は、非商業的な用途までだった。
会場の前でファンに団扇を配る、そのように無料で分け合うことはOKです。
事務所の立場では私たちに製作権と肖像権があるので売るのはダメです。
それで販売禁止のお知らせも掲示してみました。
ですが、ファンの子たちには罪の意識が全くありません。
プライベートは肖像権の侵害に当たるのに、今は法的制裁をファンに科すことも出来ないじゃないですか。
自制してほしいという言葉以外、阻止する方法がありません。
法で規制できない金儲けと金銭詐欺
経歴の長い芸能事務所の関係者K氏は、ホームマスターに関する今までの話を聞き『韓国ではパブリシティ権がまともに機能していない』と指摘した。
パブリシティ権の概念自体が全く根づいていません。
例えば、通りすがりに芸能人を見かけてそれを撮ることは可能ですが、その写真を売ることは自由だと言えない。
明らかに違法です。
企業化されたものを商業利用することに対して歯止めがないのです。
『アイドルを撮ってお金を稼ぐけど、その子にいくらかサポートしてあげればそれで許されるんじゃないか』というふうに。
最近はこのようなやり方のファン活動が、当たり前になったじゃないですか。
なぜだと思いますか?
もちろん急に出来たものではなく、昔もこのような文化はありました。
フィルムカメラで芸能人の写真を撮って、1枚当たり数百円で何枚か売るというものです。
ただ、その時はインターネットが発達していなかったので、商業利用するほどではなかったのだと思います。
ですが、今は加工技術も一緒に付いてくるじゃないですか。
国内スターはグローバルサイズに大きくなりましたが、関連法規や意識レベルがまだ低いからこのような問題が起きるんです。
始まりは純粋な愛情だったはずなのに、金儲けの心理が加速して完全に産業化されたシステムに変わってしまったようですね。
ファン同士が自主的に開く有料の映像会や展示会など、肖像権の許諾がない商業的なイベントは本当にあり得ない。
異常な資金の流れもファンダム文化に根付いてしまったようで非常に残念です。
K氏は、ファン同士の閉鎖的な金銭取引が最も危険だと言う。
有名なホームマスターであれば、他のファンと同じように事務所の関係者がSNSへアクセスすることが可能だ。
しかし、鍵がかけられたSNS内ではどんなことが起こっているかは分からない。
彼女たちの間で起こりうる金銭的な詐欺事件について、芸能事務所では助けられないのだ。
公式グッズは不具合があれば交換や払い戻しができるじゃないですか。
SNSで本当に誰かが入金して、相手が逃げてしまったらどうするんですか?
どこに抗議するんですか?
犯罪に繋がりかねないというのが心配です。
残念ながら、その極端な事例はすでに頻繁に起きている。
今やファンは、ホームマスターだったことを自分の立派な経歴であるかのように主張する。
いろいろなグループを乗り換えながら自分をブランド化させるのだ。
K氏は本業を捨ててホームマスターになったケースをいくつか見たと言った。
自らコンテンツを生産できる時代になったからでしょう。
ファンは純粋に共有するレベルで終わらせないといけません。
ガールズグループやボーイズグループのダンスを動画にして、自分たちだけで楽しむのが一番望ましい。
でも今は、パパラッチのように一挙手一投足を撮って売っているんです。
ファンではなく商売人のようになってしまいました。
ファンが撮った写真やファンアートを芸能事務所の立場で見る時はどうですか?
本当に専門家顔負けで上手く作ったものがあるじゃないですか。
ファンは『あの人を事務所に入社させてほしい』と言ったりもしますよね。
正直僕も、とても綺麗に撮ってくれたと思う時があります。
コンテンツチームを構成して撮らせてあげたいと思うくらい。
でも彼女たちはメンバー1人だけ、もしくは1グループだけのファンじゃないですか。
それだけを撮らせるわけにはいかないのです。
そして、芸能人にとても良く似ているキャラクター人形についても事務所では頭を悩ませていると言う。
芸能人のブランドを作るための過程があるじゃないですか。
グッズにはそのイメージ価値も盛り込まれているのですが、そのような概念すら今は認められていません。
こちらで明確な基準を決めるのも、曖昧になりそうですね。
そうです。
商業化の基準を100人にすることも1000人にすることもできません。
これ以上は禁止と決めるわけにもいきません。
『写真はOKで二次生産はダメ! 』それで止めると思いますか?
全部するでしょう?
頼る所は法なのに基本的な法規が曖昧なんです。
民事訴訟をしても罰金は数十万ウォン程度だからファンは罰金を払うでしょう。
『これを売れば数百から数千万ウォン稼げるから大したことはない』と言って。
過去には公募展を開いて公式契約を結んだり、専門のキャラクター開発に参加させようと策を講じたこともあると言う。
しかし、いざこのようなイベントが開かれると当事者は絶対に来ない。
K氏は芸能産業が持つ特殊性もあり、このような問題について対処することが非常に難しいと話した。
ビジネスの観点から見れば、芸能人を商品、ファンを消費者と言うこともできますが、対象が物ではなく人だから、愛情がある特別な関係になりますよね。
スマートフォンを買って、企業に『うちのブランドに何をしたの!』とは言わないが、ファンは『うちのアイドルに何をしたの!』と事務所に言うから難しいのです。
高価なサポートを会社で防げば、少しはマシになるのではないですか?
サポート自体を受けないというアイドルもいるが、何とか返してあげなければと考えるアイドルも多いです。
プレゼントも、貰いたいと言うアイドルに『お前、それは貰うな』と直接言うのも酷でしょう。
好きな人が誕生日にプレゼントをあげると言ったのに『気持ちだけ下さい』と言ったらどうなりますか?
マニトゲームでもありません。
心を規制できる基準もありません。
ファンにサポート以外で競争してくれとも言えない。
個人でお金を出してすることに、会社は介入してはいけないのですから。
頭が痛くなりますね。
それでも、法を科して最後まで処罰できるのであれば少しは収まるのでは?
確かに罰金が少なくても法に訴えることはできるでしょう。
でも、捕まえてみれば15歳です。
子供は刑務所に行かせることすらできないのにどうしろと言うのですか?
ファンが悪質になりつつあるのが問題なんです。
法的な規制がもっと明確になればいい。
そうすれば勝手にしてはいけないという認識も生まれるのではないでしょうか。
パブリシティ権というものは肖像権の製品化に対して幅広い概念を盛り込んだ表現だ。
韓国は未だ肖像権についての認識が低く、パブリシティ権の概念さえも不足している。
関連法規がずさんで、当たり前の犯罪行為に事務所はなす術がない。
後日、総合法律事務所の弁護士に意見を求めてみた。
肖像権の侵害で刑事告訴をすることは不可能ですが、民事訴訟は可能です。
アメリカでは芸能人の肖像権が重要だと考えられているので法的な制裁を加えることが出来ます。
しかし、韓国ではパブリシティ権に対する概念を認めていないのでまだまだ難しいですね。
関連法規がありません。
個人が同意もなく芸能人の写真を撮って、フォトブックでお金を稼いでも処罰が難しいということですか?
芸能事務所が民事訴訟を起こすとしても罰金が数十万ウォン程度で非常に微々たるものになるでしょう。
フォトブックなどで多額の収益が出ていたとしても、損害賠償を求めることは非常に難しいのです。
法でもお手上げだ。
これまでは『所属事務所と芸能人が甲』『ファンが乙』だと思っていたが、パブリシティ権においてはこの関係が逆転するのが現実だった。